天使の拾いもの

「いいか。辛くても直ぐに泣くな」

 躊躇えば命取りになる。

「なんだよそれ。わかんないよ」

 小さく絞り出した言葉にセシエルは目を閉じ、開いた目を険しくする。

「そうだな。俺だって色々と失敗はしてきた。それでも生きているのは、運が良かったんだろう」

「危なかったときって、あったの?」

 唐突にしんみりと話し出した事にライカは興味が湧いた。

「何度もあるさ。あれは十五年前だったか、連続殺人犯を追いかけていたとき、弾切れでこっちが追い詰められてな。あれはやばかった」

「へえ!」

「あのときの教訓で、武器は二つ以上は持つようにしたのさ」

「他には?」

 ようやく笑顔になったライカに安堵しながら、過去の失敗を語っていく。

 これを自身の教訓として欲しいのだが、それは望めないのかもしれない。ライカの瞳は、ただ輝いているばかりだった。