天使の拾いもの

「あっ!? てめ──っ!」

 車の通過を気にしつつ慌てて男を追いかける。

「そこから動くな! 待ってろよ!」

 ライカに言い聞かせて逃げた男の行方を確認し再び追いかけた。

「待ちやがれ!」

 言って待つとは思っていないが言わずにはいられない。相手も必死なのか路地裏に入って、そこにあるゴミを掴んではセシエルに投げつけて走り続けていた。

 さすがにハンドガンを抜く訳にはいかない。いや、減音器(サプレッサー)を装着していたなら足にでも撃っていたかもしれない。

 この男の手配書を受け取ったのは、つい二日ほど前だというのにライカの記憶力に感心する。とはいえ捕まえないと、それも無駄になる。

「このやろう!」

 いい加減にしろやあ! 叫びながら、落ちていた棒きれを掴むと逃げていく足元に投げつける。

 そうして無様にすっころんだ男を捕まえて、常備していた結束バンドで素早く両手首を後ろ手に縛り上げた。