ふと頬を滑る異様な感覚が走る。 そっと触れると濡れていた。 涙だ。 この幼いときの俺の記憶はいつも俺の瞳から涙を流させる。 こんなのはまだいい方だ。 夢に出てこようものなら泣きじゃくりながら物を投げ、壊してしまう。 次の日はその記憶は綺麗になくなっているのだ。 涙を袖で乱暴に拭い、鞄を持って学校から出た。 もう、道は真っ暗だ…。