窓から身を乗り出して、物置の屋根を伝い、降りる。
ジャックドーの仕事は終わった。
あとは一人。
仕事が終われば各自、指定されているクロウとルックが住むマンションへと向かうことになっている。
仕事が終わったとはいえ、ジャックドーはあまり心が晴れない。
勿論、殺人を合法的に行なっている自分たちの心が人を殺すことによって晴れることはあってはならないのだが。
このモヤの原因は、この後自らの口から説明しなくてはならない事実があまりにも気が重い内容だからだろう。
第三地区の、4人が行動する場所と、落ち合うマンションの記された地図を片手に自分の位置と、マンションの場所を確認する。
色々と書かれているが、一番目を引く文字といえば、「30F」という文字だろう。
一度衣食住の資金を渡すと国から言われた時に、ジャックドーは今の家でいいと丁重に断ったのだ。
なので衣食の面は国の援助を受けているが、多分クロウとルックは国に全ての援助を受けて、そこに住むようになったのだろう。
確かレイヴンもマンションに住んでいるとか言っていた。ただ、同じマンションではないらしいが。
ふと、思案してから微かに体重を前へと掛け、ジャックドーはバイクシューズを操作して徐々に身体を進ませる。
体重を掛けるごとに速度は増し、ジャックドーはアパートから逃げるように滑っていく。
風は冷たいままジャックドーの頬を刺した。
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飛べないカラスたち
Side-rook-