「ハイ。とっても大切なものですので。」 っていうか、これがなくなった日には、私も身元不明の死体の仲間入りに一直線だ。 恐ろしい。あぁ、恐ろしい。 「そうでいらっしゃいますか。それでは、行きましょう。」 爺やに先導されるように、恐る恐るベンツの中に入る。 今まで見たことないぐらいの広い車内に、向かい合っている座席シート。 おそらく、本革使用。 これだけでも、緊張するというのに、向かい側には、当然といわんばかりに爺やが座る。 い、生きた心地がしない。