次第に雨の勢いがなくなり、日が暮れた。

「明後日晴れるのかな?」

「んー?新聞じゃ曇り後晴れってなってるけど、どうなんだろうね。」

受話器越しにパチン。パチン。と爪を切る音がする。

試合が近くなると亜希はナーバスになって、爪の手入れを念入りにする様になる。

「もう夏だね……」

「……うん、最後の夏だ。」

そうだ。

暑い季節がもう始まるのだ。