自分の家に帰った拓哉。

部屋に入ると、自分でも驚くほどの散らかり様。

「うわ、まじか。ここまで汚した記憶が欠片もねぇ……」

脱ぎ捨てた服に読みおわったプリント、雑誌にマンガ。

拓哉は部屋の掃除を始めた。

「……ったく、いったい何日サボったらこうなるんだよ。」

元々綺麗好きだったから、積み重なった本とかを退けるだけで、十分に綺麗に片付いた。

「うぉっ!!机の上、はんぱねぇな。」

バラバラに放り出されていた教科書をトントンと纏めて、勉強机の上の棚に乗せようとした時だった。

カシャン。

教科書の間から何かが滑り落ちて、灰色のカーペットに転がった。

「……あ、これ。前に琴音に借りた……」

それは私が貸した詩帆の『濡れた翼』のCDだった。

拓哉は教科書を棚に置いて、ゆっくりとCDを手に取った。

「……そういやカラオケの時に歌ってたな。よし。」

よし。と言って、拓哉はCDプレーヤーに詩帆のCDを入れた。

再生ボタンを押して、拓哉は歌詞カードを手にしながらベッドに寝転んだ。