体の力が抜けていくような感覚。 その場に座り込んで、立てなくなった。 「直、しっかりしろ。大丈夫だから」 その時、私の頭に浮かんだのは、お父さんの顔だった。 お父さんに何かあったんじゃないかと思った。 「直、落ち着いて。今から俺が電話するから」 先生に腕を引っ張られて、ベッドへ寝転んだ。 怖くて怖くて、 手が震える。 お父さんが記憶を失ったあの日のような恐怖が再び私を襲う。 ホテルからの国際電話は時間がかかる。 なかなか繋がらない。