「…彼女と別れた。」
正樹はコーラを一口飲むと、途端にそんな告白をした。

「…そっか。…フラれたの?」
美伽は慰めの必要性を見定める為にそんな確認をした。

「はぁ…?どっちでも良いだろそんなの…。」
正樹は軽い罪悪感から自分が美紀をフッた事実を隠した。

「ていうか彼女いたのも知らなかったよ…。まぁ、今日は会いに来てくれたから良いけどさ…。これからはたまにで良いからお姉ちゃんに会いに来なよ?いつでも話し聞くからさ…。」
美伽は優しい姉らしく擁護の関係を改めて示唆した。

「………。」
正樹は拒絶をせず、それによっての間接的な擁護の欲求を表現していた。

「どうして別れたの?」
美伽は聞いた。

「…他に好きな女がいる。」
正樹はふてぶてしい態度はそのままにして、恥ずかしげもなく相談を始めた。

「"女"ときたか…。"女の子"じゃなく…。あんたそんな威圧的でよく彼女なんて出来たね?」
美伽は女性ならではの目線で本音を言った。

「…こんな態度はお前にだけだよ。」
正樹は姉弟ならではの"甘え"という意味でそう言った。

「"お前"とか言うな!お姉ちゃんでしょ?…で?その"女"を好きになっちゃったから彼女をフッて『それでこの後どうすれば良い?』っていう相談?」
美伽は呆れ顔を見せながら言った。

「違う…。彼女と付き合う前からその"女"が好きだった…。仲良くなろうとしたけど…、でも…、その女の親友に告られた…。」
正樹は所々言葉に詰まりながらも要点だけを話した。

「…で、好きでもない女の子と付き合ってたって事?うわぁ〜…、あんた性格悪いねぇ…。ていうかそれって誰も得しないじゃん。フラれた彼女は当然傷ついたろうし、あんたはあんたでその娘に感情がない訳だから楽しくない訳だし、彼女の親友もあんたが親友をフッたっていうイメージが付いちゃったから当然あんたの事は嫌いになるし…。んであんたは彼女と別れたは良いけど本当に好きな娘に嫌われてるからもちろん"見込み"は薄い!って事ね?だから恋愛経験豊富な美人のお姉様に何か貴重なアドバイスは頂けないかと考えて、そのお馬鹿な面を下げて会いに来たのね…。」
美伽は意地の悪い笑顔を見せながら言った。