大学からの帰り道。


平田と沼袋部長は授業に行ってしまって、私は珍しく目黒さんと二人きりになった。



「ミチコ先輩、犯人、誰だと思いますか?」

ウキウキした様子で、目黒さんが言った。


「目黒さん、なんか、やたらうれしそうじゃない?」


「私、コナン大好きっ子なんです」


「どういうこと?」


「犯人はこの中にいる!みたいな」


「それ金田一少年じゃない?」


「古っ!先輩、古!」


「そう?」


「ま、ミステリー物が好きなんです。だから、犯人探しとか、わくわくしちゃって」


「そんなこと言って、財布狙いなんじゃないの!?」


「平田先輩のブランド財布ですか」


「そうそう。犯人を見つけたらもらえるんでしょ」


「私はそんなに物欲に塗れてないですよ。ブランド興味ないです」



確かに、目黒さんは、ブランド物をまったく持たないタイプだ。

ピンキーアンドダイアンのタオルハンカチにも腰を抜かしそうだ。




「ま、まさか先輩は財布狙いですか!?」


「ノーコメント」


私がそう言うと、会話が終わってしまい、なんとなく気まずい雰囲気になってしまった。