散らし寿司に、山菜の味噌汁が、ハジメの家の今夜のメニューだった。


「野いちごを食べる?」


ハジメのお母さんが、お皿に野いちごを持って来てくれた。


「はい。いただきます」


「お口に合うかしら」


「甘酸っぱくておいしいです」


「ほほほ」


「めずらしいですね」


「山でとれたのよ」


「へえ」


「おかん、そろそろ出て行ってくれよ」

ハジメが言う。



「あらやだ。ごめんなさいね」

ハジメのお母さんは、くすくす笑いながら部屋を出て行った。




私は今ハジメの部屋にいる。




4畳半くらいの広さだろうか。


板張りの床に、小さな本棚とベッド。


きれいに整頓されていて、清潔感のある部屋だ。


壁には、ビルゲイツのポスターが貼ってある。


そんなもの、どこで手に入れたのだろう。