リスの落し穴事件。


大変な事件だったが、沼袋部長と平田の三人の金銭的な活躍によって、かなりの短期間で、解決した。



沼袋部長の家は地主で、平田の両親は二人とも医者だ。


穴堀に実際に参加した他の部員も、お詫びや治療費として数万円ずつ負担したという話だった。



「いやー。アネキが落し穴掘りに参加してなくてマジ良かったよ」


小豆バーを食べながら、橘が言った。



変な動物の柄のTシャツにレインボーカラーのブリーフ。


どこで手に入れたのか全くわからないが、意外にも、ジャニーズ顔の橘には似合っていた。



「お母さんにこれ以上無理させられないよね。っていうか橘、下着で家の中歩くのやめなさいよ」


「家の外歩くより良いだろ」


「そりゃそうだけどね」


「客からのプレゼントなんだ」


「すごい趣味のお客さんだこと」


弟は先週末から、ホストクラブで働き始めた。



まだ学生の身だが、研修をかねて週末だけ店に出ることになったらしい。



弟は、歌舞伎町でホストをすると言っていたが、実際は、『歌舞伎町倶楽部』という名の隣町の店だった。


「そういえば、アネキ、彼氏とはどうなのよ」


「ま、まあ、うまくいってるよ」



「今日もデートなんだろ?バイク乗せてってやるよ」


「助かるわ」


「まかせろ!」


「ズボンはいてね」


「まかせろ!!」