翌日。


私はジーンズに黒いTシャツにビーサンという出で立ちで、弟のバイクにまたがった。


汚れても気軽に洗える服装だ。

一方、弟は、白いパンツに薄いピンクのシャツだ。


グッチのローファーまで履いている。


よく見るとGUGGIというロゴが付いている。


多分、この間、ホームセンターで買った物だ。



ゴミ屋敷に着くと、めずらしくベレー婆が、庭の掃き掃除をしていた。


「ババア、来たぜっ」

弟が言うと、婆はほうきを放り投げて、やって来た。


「橘坊(タチボウ)!よく来たね!」


「珍しいじゃねーか。婆が掃除なんて」


「ヒヒヒ。ちょっと灰が溜まっちまってね」


「灰?どしたんだ」


「また庭の物を燃やされちまってね~」


「マジかょ」


「マジじゃ。まあ、本棚とマネキン1体だけだったから、前よりはマシじゃ」


「あのマネキン燃されちゃったのかよ」


「残念ではあるが、出会いがあれば別れもあるのが人生じゃ」


「大人だな」


「まあまあ、立ち話もなんじゃから、中に入りなさい」


「おう」


弟がずいぶん婆と親しいので驚いてしまった。



玄関は、生ごみのようなものが散乱しており、ねずみがいた。


「ねずみのチューヤンじゃ」

婆は、そう紹介してくれた。