お気に入りのワンピースが濡れるのも嫌なので、私は、このまま少し雨宿りをすることにした。

病院の食堂に移動して、カフェオレを飲みながら、雨が止むのを待った。


お茶だけのつもりが、だんだんお腹が空いてきて、ついドリアを注文してしまった。

たいしておいしくないくせに950円もした。


隣のテーブルでは、おばあさんが、3人で、こそこそ噂話をしている。


「それが、ホームレスらしいのよ」


「あの入院患者!?」


「そうそう。だから、身寄りもないし、仕事もないし、もちろんお金もね」


「やだ。入院費どうすんのよ」


「払いようがないものね」


「病院も大変だわ」


深刻な話みたいだった。



他人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、おばあさん3人組の顔はきらきらと輝いていた。




1時間近く食堂にいただろうか。



さっきまで土砂降りだった雨は、すっかり上がっている。


空が暗いのでまた降り出すかもしれないが、今なら傘を買わずに帰れそうだ。


外は雨のおかげで少し涼しくなっている。


私はご機嫌で、駅へと向かった。


が、


すぐにまた雨が降りだしてしまった。

雷まで鳴っている。

また土砂降りになりそうだ。

駅まで走るしかない。



私は全力疾走した。