一週間が経った。

何も進展は無い。

ハジメとは連絡を取っていない。

夏休みに入ったので、部室でみんなと話すこともなくなった。


まとめ髪に苦戦しながら、私は暗い気持ちになっていた。


今日は、ハムスターを預けに平田の家に行くことになっている。

本来のハムスター当番である平田に、一刻も早くハムスターを渡したかったのだが、何だかんだ理由をつけて日にちを先延ばしにされていたのだ。




平田が住んでいるのは、うちから電車で一時間くらいのところにある、閑静な住宅街だ。

少し遠いし、暑くて面倒臭いので、行きたくなかったが、ハムスターの世話を続けるのは限界だった。

籠が無いのが、何よりも辛い。

籠は平田が持っているし、多数決でハムスター当番になったのだから、平田が預かるのが一番良いはずだ。


駅に着くと、短パンからすね毛を出して、にこにこした平田が待っていた。



「はい、ハムスター」

私は、巾着袋に入ったハムスターを平田に手渡した。


「き、巾着袋ですか!?」

と、驚きながらも平田はハムスターを受け取った。


「せっかくここまで来たんだし、お茶でも飲んでいってくださいよ」

平田はにやにやしながら言った。


「このまま帰るつもりだったんだけど……」


「そんなこと言わずに、寄っていって下さいよぉ」


「そう?」


「そうです」


「じゃあ、少しだけ」