「着信拒否じゃね!?」

トーストを齧りながら弟が言った。



乱れた髪に、青白い顔。



タバコと酒の匂いがする。



「まさか、そんな!?」


「大声出さないでくれよ。夜勤あけで頭痛がするんだ」


「ごめんごめん」


朝8時。


弟は、ホストクラブに朝まで勤務して、アフターでカラオケにまで行ってきたらしい。


朝からカラオケなんて、信じられない。

きっと、彼にとっては、深夜のような感覚なのだろう。



「いまどき、携帯料金の滞納なんて、どこのネカフェ難民だよ。普通引き落としだろ」


「そうかな」



「まあ、俺がアネキにもっと良い男、紹介してやっからよ」


「やめてよ」


「いやいや。すっごい良い男がいるんだよ」


「どんな人?」