目の前にいる男は、
高めの柔らかい声でそう言うと、

私のすぐ隣にしゃがんで、
顔を覗き込んでいるよう。


 …………見ないでよ。


彼の独特の甘い香りが
私の鼻を刺激する。




なんか、この場所だけが
世界が変わっているような…

そんな感覚になって………

ふと顔を上げると、
透明感がある円らなその瞳と

「……………ぁ…」

視線が合わさった。


───あなたは誰?


私は彼と縮まった距離から、思わず一歩退く。


「驚かせて、ごめん。僕の名前はリク。君の名前は?」

“リク”はそう言って
また一歩私に近づく。


そして━━━…

「………………っ!」