手をつないで、繁華街を通り過ぎる。小さな路地裏へ出ると、住宅街に入っていく。


「どこに行くの?」

「ばあちゃんの住んでた家。最近、俺の家の近くに引っ越してきたから、こっちの家は内装して貸家にする予定なんだ。空き家って、たまに風通しに来ないと、錆びれちゃうんだって」



へぇー……。空き家ってそんなもんなんだ。


「せっかくのデートなのに、風通しもついでにして来いって言うから、携帯代を交換条件にしてきた」

「フフ……賢いというか、せこいというか」


私は笑って彼に寄り添い、目的地へ向かった。


「ここだよ」


一軒の小さな平家。縁側と庭もついていて、外観は古いけど、温かな雰囲気のある家だった。


繁華街の近くにある家にしては、庭付きだし、かなり良さげな物件。