「成瀬が戻る前に行くわ」 その言葉を聞いて、立ち上がる会長と目を合わす。 しかし、気に留めることもなく背を向けて歩き出した。 「あいつに告わせないつもりですか」 風が吹いて、そのおくれ毛を微かに揺らす。 昼から少しだけ、お団子が下がってきたのかもしれない。 「さあ?」 顔だけこちらを振り返ると、会長はからかうように目を細めた。 「帰り、逃げんなよ」 そう言い残すと俺の問いには答えず、ゴミ捨て場とは反対の方向へ歩いて行った。