成瀬の背中を少し見送って、目線を落とした。 最初から言うつもりなんてなかったけど。 これじゃあ会長の本性がどんなかなんて、成瀬には口を滑らしても言えないな。 会長のあんな姿を知らないまま、出来るだけいい形で失恋して、次にいけるようにしてやりたい。 「恋だねぇ」 ほんと、恋ですねぇ。 ……? 「……!?」 驚いて顔を上げると 「赤くなっちゃって」 フッと笑う会長が、腕組をして成瀬が去った方向を見ていた。