煙草がなくなったから?
意味がわからない。
俺の疑問に答えるように、俺の手をつねって言った。
「煙草やめるから、もうここに用はないってこと」
そしてすたすた歩き出す。
やっぱりよくわからない。
けれど、煙草を取り上げると、悲しく歪む会長の寝顔を思い出した。
その後やたらあくびをして、目に涙をためていた。
本当は、泣いていた?
会長はどんなに眠くても、煙草が短くなるまで捨てなかった。
会長が吸っていた煙草には、俺には到底知りえない意味があったのかもしれない。
「好きなひと」との繋がりだろうか。
もしかすると、この屋上も。
捨ててしまうの?
「もう二度と現れない」好きな人との繋がりを。
捨てなければならないほど―――
「まだ好きなの?」
会長は、ドアの前で立ち止まった。
「……すき?」
まだ、手を離すには早い。
だからおしえて。
「まだ、好きなの?」



