廊下の途中にある処置室らしきところに入った。
「終わったら呼べよ」
担任は一人、そのまま入院病棟の方向へ歩いて行った。
「腕見せろ」
「広田先生はどこ行ったんですか?」
ガチャガチャと一人の看護師が準備をする音を聞きながら訊ねた。
「見舞いだろ」
俺は左腕を出して見せた。
外科部長は、養護教諭が施してくれた手当を解いて傷を眺め始める。
近付いて初めて「外科部長」の下に書かれた名前に振ってある読み仮名が見えた。
「これ、縫うんですか」
クレマツ先生は眉をひそめた。
「近頃の奴はこの程度で大騒ぎしやがって」
あ、縫わないんだ。
「傷自体でかいが、ほとんど浅い。血が沢山出たと言ったが男は血に関しちゃ大げさなんだ。血もほぼ止まっているし縫う必要はない。縫えば早く治るがな」
え、じゃあ、縫って欲し……
「だが縫わん」
「……」



