否定しようとすればする程、胸が苦しい。

「嫌い、嫌い、も。
好きのうち、ってね!」

「だからぁ…」

あわてて否定しようとする。

「知ってるよ。
『そういう』好きじゃない、ってことくらい!」

「はっ!?」

首を傾げた私を見て、慎一くんは声を上げて笑った。

慎一くんの『そういう』とは、恋心のこと。

それを必死で、否定しようとしていた自分が、すごくバカみたいに思えて、私も笑ってしまった。