何も知らなかった。
ずっと知らなかった。

あの日の真実。

私、愛されてたの!?

ずっとずっと、『産まれてきてくれて良かった』って、そう思ってくれてたの!?

「私、全然知らなかった…」

今度は私の瞳から、いくつもの涙があふれた。

それは、今までみたいに苦しいものじゃなくて、うれしい涙。

『生きてて良かった』

そう思った瞬間。

あふれないように覆っていた壁が崩れて、貯めていた水が一気に流れ出したダムのように。

とめどなく、頬を伝ってこぼれ落ちる涙。