『自由』

それほど魅力的な言葉はない。

後ろめたい過去も、暗く沈んだ気持ちからも解き放たれて、私の心は翼を持ったかのように軽くなった。

この世界で、ひとりになったような開放感が全身を包んでいた。

今なら、とびきりの笑顔が作れそうな気がする。

偽物じゃない、本当の私の笑顔が取り戻そうだった。

「こんなところで、何してるんだ?」

やや怒ったような、その声を聞くまでは。

一瞬にして翼をもぎ取られた私の心は、また暗く染まった。

ゆっくりと振り向くと、見慣れた顔がそこにあった。