「雪、乃…」
視線だけが絡み合う、気まずい緊張状態。
この状況で動くなんて無理なわけで、俺と玲奈の体勢もそのまま…。
それをじっと見据えたあと、雪乃は無言で屋上を出て行った。
出口に振り返る瞬間に見えた雪乃の表情。 唇を噛みしめ、今にも泣き出しそうだった。 それが頭から離れない。
雪乃にヒドいことをした。最低なことをした。
“俺が雪乃を傷つけた。”
そう思うと、ズキリと胸が痛む。
………何なんだよ、この気持ち。
心の奥深くから、わき出すようにあふれてくるこの感情…。
よくわからないのが、余計苛立ちを増幅させる。

