「わりーけど、もう諦めろよ。」
「…無理だよ。 だってあたし、スゴく好きなの。 都合のいい女でも何だっていいから、風春のそばにいたい。」
何だよ、それ…。
「…わり。何回言われても無理だわ。」
俺の言い放った言葉を境に、広がる沈黙。その沈黙を破るように、玲奈が小さくつぶやいた。
「……噂通り、青木さんが本命だから?」
「は? だから俺は…っ」
“本命なんてつくらねぇ。”
そう続けようとすると、抗う暇なくふさがれた唇。久しぶりのキスに、俺らしくもなく頭が真っ白になっていく。
すぐそばにあるスピーカーから、四時間目終了を告げるチャイムが鳴った。

