だけどそんなの、考える意味もない。 気にするほどのことでもない。 「じゃ、そろそろ帰りますか。」 「だね。 私、待ち疲れ〜…」 「…それはわかったっつの。 俺が遅いのが悪かったって。」 そんな会話を交わし、二人並んで教室をあとにした。オレンジ色に染まりきった廊下に響く、二人分の足音と笑い声。 俺の隣に雪乃がいることが、一週間という期間で当たり前になっていて、雪乃の笑顔を見るとどこか安心する。 …そんなことをガラにもなく思ってしまったっていうのは、俺自身の心の中に秘めておくことにした。