「…大志。お前もたまには気の利いたこと言うのな。俺、今日の帰りにでも聞くことにするわ。」
「おう。………でも、“たまには”は余計だって。」
大志の否定の言葉を軽く耳に留め、離れた席に座る雪乃に視線を投げた。
窓際に座る彼女は、一人本を読みながら、時折窓越しに空を見上げている。
その姿が儚く見えたのは、ただ俺の思い過ごしか、それとも………。
まぁ、すべては本人に聞けばすぐに解決するんだ。ってか何で俺、こんなに悩んでんだ?ったく、大志の言う通り、マジでらしくねーし。
視線を前に戻したと同時に、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。

