「こう見えて、感謝しているのですよ。」
「……その口調ヘン。」
「失礼だなぁー…」
風春に抱きしめられたまま、他愛もない会話を交わし、どのくらい経ったのだろう。
しだいに襲ってくる眠気、重たくなった瞼に抗う術はない。
どうやら風春は私以上なようで、私の肩に埋められた顔から聞こえてくるのは、規則的な寝息…。
あぁ、ほっとするな。
愛しい人の胸の中、その鼓動を聞きながら、久しぶりに心地よい気持ちで眠れる気がする。
次に目を覚ましたときはもう、きっと、終焉へ続く道しか残されていないだろう。
だから今だけは。
そっと静かに、二人の時間を過ごさせて。
風春の胸に頭を凭れて、私もゆっくりと目を閉じた。

