「俺、“最短ってどれくらい?”なんて聞かれたの初めてなんだけど。気を悪くしないで、なんて言うから、もっと深刻な話かと思ったのにそんなことかよ。」
やっと笑いがおさまった佐山君がそう口を開く。過去の女関係の話って、あんまり聞いてほしくないかと思ったんだけど、そうでもないみたい。
少し思案するように首を傾げた佐山くんは、答えが見つかったのか、ポツリと言葉を紡ぐ。
「三時間。」
「へ?」
「だから、三時間だって。」
「…何が?」
佐山君から二度繰り返された言葉に、何が?なんて間抜けな質問を返してしまった私。
それが私の質問への答えなんだってことくらい、わかってたけど。
また確かめないといけないくらい、耳を疑ってしまうような答えだったから。

