俺が相当暗い表情でも浮かべたのだろうか、雪乃が俺を見上げて盛大なため息をついた。
「先生もさ、風春のしつこさに屈服したんじゃない?だって毎日、頼みに行ってたんでしょ?」
「まぁ…」
「だから、風春が何を考えてるかなんて知らないけど、私はちゃんと許可取ってきたんだしさ。早く行こう?」
そう言って、再び俺の手を引きながら雪乃は笑う。
俺の不安をかき消すように、優しくあたたかく、存在を知らしめるように…。
「…じゃ、行くか。」
「うん!」
ぱぁっと輝く、嬉しそうな笑顔。
それを見ていたら、変に疑りいぶかしんでた自分が急にバカらしくなった。
玄関の鍵を閉め、軽く握られていた俺の左手にぎゅっと力を込める。同じように握り返された手に顔を見合わせ笑いあえば、不意に、こんなことさえも幸せなんだと思えた。

