『契約』恋愛


私は、何をやっているんだろう。

確かに生きたい。死ぬのは恐い。でも、後悔しないように生きようって、あの日決めたはずじゃない…

生きたいなら、ここにいるべき。
先生が言っていることはもっともで、私のためを思ってくれているのもわからない訳じゃない。

でも…、でもね?
後悔しないように生きるなら、私が今、したいことをしよう。やりたいことをやろう。

どうせここにいても限りある命。
閉じこもったまま終えるより、最期まで楽しく生きられた方がどんなにいいだろう。

一つの決意をし、私はすっと通路から出た。少しだけ隙間の開いた診察室のドアを見て、大きく深呼吸する。

嫌いな独特な匂いを肺いっぱいに吸い込んだ後、三回ドアをノックした。