私は無理だってわかってたのに、
風春が本気だって気付いてたのに。
どうしてあんな約束したんだろう。
どうして約束だよ、なんて言ったんだろう。
「しつこいな。彼女が今、どんな状況にいるかわかっているのか?」
どんな状況、か…
先生の言葉に現実を突きつけられた気がして、熱くなる目頭。手の甲でぎゅっと押さえて、ナースステーションと診察室の間の狭い通路に隠れた。
「わかっている、つもりです。ですが…」
「ふざけるなっ!お前はあの子を死なせる気かっ!早く出て行け!!」
思いっきり開かれたドア、その直後に出て行ったのは、やっぱりまぎれもない風春の姿。
唇をかみしめ、悔しそうに、哀しそうに遠ざかる姿が目に焼き付いた。

