『契約』恋愛


「…――お願いしますっ!」

「だから、何度言ったらわかるんだ。無理だと言ったら無理だ。」


…どうやら、中では何かもめてるらしい。
あの先生にしては珍しく、だいぶ怒気がこもった声だ。

それにしても、もう1人の人は誰なんだろう?ドアを隔てているせいか、なかなか声色が聞き取りにくい。


「もう、さっさと出て行ってくれ。患者との打ち合わせがあるんだ。時間もおしている。」

「たった一時間でも、30分でもいいんです!許可してください、お願いしますっ!雪乃を、どうしても連れて行ってやりたいんです。」


――え…? 私…?

一瞬、私の思考が止まった。
でもソレはほんの一瞬で、すぐにすべての疑問が解決される。

中にいるのは風春。

もめてる理由は私。

風春は私のために、私との約束を果たすために、本気で許可を取ろうとしてくれている――…