『契約』恋愛


白い壁に手をつき、ゆっくりと目的地へ足を向ける。途中で数回、すれ違う看護師さんと挨拶を交わした。

第一診察室はこのフロアのだいたい真ん中ぐらいにあって。私の主治医の部屋とも化しているところ。

ナースステーションとの間に狭い通路を挟み、設置されている部屋の前。閉められているドアに向かって小さく深呼吸をし、ノックをしようと手を上げると、中から話し声が聞こえてきた。

ふとナースステーションの大きな時計に目を向ければ、もう時刻は2時をまわっていて。
違う患者との話が長引いてるのかな。なんて不審に思いながらも、中の人たちの会話が終わるのを待つことにした。

壁にもたれ掛かり、しゃがみ込む。
こんなことならもっとゆっくり部屋を出ればよかった、なんて、意味なく後悔してみたりして。

あまりにも暇な待ち時間に、いけないことだと思いつつも、何気なく室内の会話に耳を傾けた。