『契約』恋愛


「いや、まだしばらくはコレで…。」

「そ。」


素っ気なく返された返事に、ちょっと怒らせたかな?なんて思ったけど、そうでもないらしい。

「名字って慣れないんだよなー。」なんて、広がる青空を見上げてつぶやく姿に、思わず頬がゆるんだ。


「…で?」

「へ?」

「へ?じゃなくて。何か俺に言おうとしてただろ。」


マヌケな声で聞き返した私に、青空から移された視線。
…あぁ、そうだった。
聞こうと思ったことがあったんだっけ。
どうでもいいことだったにしろ、忘れかけていただなんて、我ながら呆れてしまう。