ぎゅっと両手を握りしめ、高ぶった気持ちを落ち着かせるように小さく息を吐く。と、同時に響いたノック音。
お見舞いにくるってことは、家族か凛のどっちかだろうけど…
「…はい、どうぞ。」
ぐらつく頭を持ち上げ、とりあえず体を起こす。ゆっくりと視線をドアに向ければ、静かに開けられたドアから凛が顔をのぞかせていた。
「ハロー。調子はどう?」
「相変わらず、だね。」
にこにこと笑っていた凛も、私の返答に乾いた笑みを零す。ハの字に垂れ下がった眉に何だか罪悪感を覚え、私も苦笑いを零した。
「…あのさ、雪乃。」
「ん?」
急に、本当に唐突に真剣さを帯びた凛の声と表情。
いきなりどうしたのかと不思議に思って首を傾げれば、凛のまっすぐな瞳が私を捉えた。

