ガチャンと鈍い音が響く。
反射的に振り向けば、目に映ったのは愛しい人。


「おはよー。風春早いね。待たせちゃった?」

「いや。別に待ってはいねぇよ。」

「そっか。ならいいんだけど。」


そんな会話を交わし、雪乃は俺の横に並び、屋上を囲むフェンスに両肘をついて空に視線を投げる。そしてゆっくりと口を開いた。


「……私に話って、何?」


問いかけるとともに俺へと向いた視線。
不思議そうに揺れる瞳から目をそらすことなく、俺はゴクリとつばを飲み込んだ。
――そして。


「…あのさ、雪乃。俺、雪乃が好きだ。だから俺と、『契約』じゃねぇ、本気の恋しないか?」


口にしたのは、本気な俺の想い。