『…そっか。ならいいんだ。
俺の思い過ごしでよかった。』


携帯から聞こえる、さっきよりも数段明るくなった声。

これで、いいんだ。

そう自分に言い聞かせるとともに、電話の向こうで風春が笑顔でいる様子を想像して、ふっと頭痛が軽くなったように感じた。


「変な風春。
……じゃあ、そろそろ切るね。」

『あぁ。何か、悪かったな。』

「ううん。気にしないで。
むしろありがとう。また明日ね。」

『おう。』


携帯を閉じ、私はベッドに横になった。
どっと押し寄せる疲労感、そして罪悪感。

今ごろ罪悪感にとらわれるなんてバカみたいだけど。
でも確かに、理由はどうあれ私が風春を騙してることには変わりない。それは紛れもない、事実なのだ。