まさに今の“隆介”ってのが、
雪乃が唯一付き合った人で、
おそらく雪乃が“本気”だった相手。
あの曖昧な答えに秘められた意味も今の会話をふまえれば、過去に何かあったんだってことが容易に想像がつく。
徐々にパズルのピースが当てはまってく中で何故か、
“俺は何か大切なことを見落としているんじゃないか?”
そんな気がしてならなかった。
雪乃に引っ張られるまま走って、走って…。
いつの間にか雪乃の家の前に到着。
肩で息をする雪乃に声をかけようとしたのと同時に、雪乃が俺の方に振り返った。
「…なんか、ゴメン。変なとこ見せちゃった。でも、あまり気にしないで。」
笑顔で発せられた言葉…でも。
……笑うんなら、ちゃんと笑えよ。
何でそんな泣きそうな顔で、無理して笑おうとするんだ?

