『契約』恋愛


「もっと別に、ユキに言ってあげる言葉はあったはずなのに、俺…」


唇を噛みしめ、うつむいた彼。
話についていけない俺は、やっぱり黙って聞いているしかなくて。
このポジションじゃ雪乃の表情はわからないけど、彼女も同じように話に耳を傾けているようだった。


「ホントに、ゴメン。」

「………私、気にしてない。傷ついてもいない。…だからさ隆介、もう私に関わらないで。」

「ユキ…?」

「もう、私のことは忘れて。それが隆介、後々あんたのためになる。それにそれが、あの日隆介が望んだことだよ。」


どういうことかわからない。
“あんたのためになる”って、“望んだこと”って…何だ?
忘れることが、何でなんだよ?

たくさんの“?”マークが頭に並ぶ中、ふるえる雪乃の手から伝わる振動だけを、やけにリアルに感じていた。