『契約』恋愛


くだらない話をしながらも、しだいに近づく雪乃の家。もう少しで着いちまうな、なんて思いながら小さな公園があるカドを曲がると、急に雪乃が足を止めた。必然的に俺の足も止まる。


「雪乃…?」


不思議に思って雪乃の顔をのぞけば、雪乃の表情からは笑みが消え、前の一点だけを見据えていて。

その視線の先を辿れば、見知らぬ一人の男。しだいに近づいてくるにつれ、はっきりと俺も彼を捉える。

見慣れない制服に身を包む彼、おそらく同い年ぐらい…。さらに近づいたとき俺が気がついたのは、彼の視線も雪乃だけを捉えていたことで。

イマイチ状況が理解できない俺。
でも、ろくでもない予感はやっぱり的中してしまうんだ。

気まずい沈黙が続く中、先に口を開いたのは雪乃の前に立つ男だった。


「…ユキ、だよな?」