「…別に。そんなに待ってねーよ。」
「ん。それならいいけど。」
一応は修復された関係、
継続された『契約』。
それでも少し気まずくて、緩んだ頬とは裏腹に、どこか素っ気なくなった俺の返事。
でもそれを気にもしないで笑顔を見せてくれた雪乃。その状況に、なんだか自分が情けなく感じた。
「……どうしたの?帰ろ?」
黙って立ち尽くす俺を不審に思ったのか、不意に差し出された手。のぞき込まれた顔に、やっぱりこんなの俺らしくないと心の中で喝を入れた。
「おう。」
差し出された手を取り、いつも通りの帰路につく。ふと空を見上げれば、青を覆うようにゆっくりと雲が広がり始めていた。
……不意に、得体の知れない嫌な予感が胸をよぎる。不安が、胸を掻き乱した。

