ざわめく気持ちをどうにか落ち着かせ、とりあえずゆっくりと考えてみる。
風春は何で今さら、私に謝っているのかを。

『契約』を終わらせた自身の行為についての弁明?
それとも、私にあの状況を見せてしまったから?
どちらにしろ、“遊び”だった私に、風春が謝る意味なんてない。


「なん、で、謝るの?」


無意識にふるえた唇。
かすれた声で私は問いかける。


「何でって…。 四日前、屋上で…」


でも、彼が発したのはやっぱりあの日のこと。あの日のことの謝罪なら、私はいらない。 だから。


「…別に、謝ることなんてないよ。私たちの『契約』は終わり。だから風春が誰とキスしてようが、誰を押し倒してようが、それはもう自由でしょ。私には関係ない。」


私が返すのは“終わり”を確定づける、残酷な言葉。