『契約』恋愛


こんなに苦しいのも。
こんなにツラいのも。
こんなに胸が痛いのも。

その“変化”のせいだろう。

そして浮かんできたのは。


「……――風春。」


ここ最近、毎日傍に在った彼の笑顔。

あー、そうか。
思わずつぶやいた名前と、不意に浮かんできた“変化”への答え。
冷静になれば、そんなのすぐにわかったことなのに。


「私、風春が好きなんだ……。」


“好き”になったんじゃない、気づいたら“好き”で…。
気づくのが遅い、そんなのわかってるけど。

独り言のように呟いた私の本心を示す言葉は、声に出してみるとより強く、弱った心に響いた。