「だからあたし、もう恋は卒業します。」 あたしは笑ってみせた。 ただ、その時に思った。 ねぇ、北条先生、 北条先生の目には、 今のあたしはどんな風に映ってますか? 別れを告げられ、泣くしかしなかったあの頃のあたしよりも、 少しは大人に見えますか? 「妃奈、俺は、」 「名前で呼ばないで下さい。 そう最初に言ったのは北条先生ですよ?」 もう名前で呼ぶなって言ったのに。 一度二人きりになった2学期の夜も名前で呼ぶし 今日も名前で呼ぶし 「北条先生は…よく約束破るんだから。」