教室に入ると、朝よりは柔らかい空気になっていた。
あたしは少しほっとした。
あんな状況では息が詰まる。
居心地の悪さに、飛び出したくなる。
あたしは阿紗子と話しながら席に着き、着いた後もずっと話した。
クラスの中にも話し声が至る所から聞こえた。
1年間の思い出や、来年の進路の事、普通の世間話。
至って普通の事だが、これが“青春”というものなのかなと思った。
今が凄く楽しかった。
あたしはその今を楽しみたいと思った。
先生が来ないから、その時間は長く続いた。
だが、今年最後の終礼がある。
その時間が永遠に続くわけではない。
ガラッ
前のドアが開いた。



