木下先生と北条先生のおかげで、終業式というか、離任式は感動的なものになった。
体育館から出で行く人々は、映画を見た後のようであった。
あたしはその中に阿紗子の姿を探した。
「阿紗子!」
あたしは見つかった彼女の名前を言った。
阿紗子は振り返ったが、あたしがどこにいるのか分かっていないらしい。
「阿紗子!!」
もう一度呼ぶと、彼女はあたしを見つけ、壁に寄ってあたしが来るのを待ってくれた。
直ぐに合流したあたし達は、教室まで一緒に戻る。
「妃奈、何か凄かったね。」
「うん。
凄かった。」
「あたし、何かウルってきちゃったよ。」
「本当に?」
阿紗子って、実は涙脆いの?
そんな風に思った。
「うん。
木下先生が話している時にさ、あぁ、木下先生好きだったのにな、すっごい淋しいなあ、って。」
「え?」
あたしは少し疑問に思った。
「阿紗子は北条先生で泣いたんじゃないの?」



