あたしがそう考えているうちに、北条先生は話始めた。
内容は割と沢山あった。
今日の予定、春休みの宿題の事、これから高校3年生になるにつれての事など
あと、来年になると戸田が復活するらしい。
だから、木下先生も転勤すると。
そんな事も言っていた。
木下先生に密かに想いを寄せていた男の子が顔を伏せた。
辛いんだろうな。
あたしはその子の後ろ姿を見た。
他にも、ファンだった子が残念そうにしていた。
そして全身から、頼むから戸田は帰って来ないでくれ、というオーラを放っていた。
そんな話をした後も、北条先生は自分自身のことについて話さなかった。
来年もこの教卓に立つのではないかという錯覚に陥りそうになった。
…
あたしはそんな想像は無駄だと分かっていても、止める事は出来なかった。



